表題曲“Gonna Get Some Records, 1962(想い出のレコード)”は、まったくヒットしなかったけれど、オールディーズ・ファンやマニアの間ではけっこう知られている曲らしい。それは、1990年代半ばに日本のエーサイド(A-Side Records)で発売されたCD盤“GONNA GET SOME RECORDS - GIRLS COLLECTION VOL.4 (AZ-5016)”に収録され、オールディーズ・ファンの間では少々話題となったからだろう。
そこで、日本のオールディーズ・ファンやマニアの動向を年代的に少し考えてみたい。
もともとオールディーズの対象となる曲は、まず「日本で大ヒットしたこと」や、自分にとって「懐かしいこと」が前提であった。つまり、ほとんどのファンは当時のヒットパレードを聴いていた人達で、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)をはじめ、ポール・アンカ(Paul Anka)、ニール・セダカ(Neil Sedaka)、コニー・フランシス(Connie Francis)らに代表されるヒットパレード常連組の曲を、私に言わせれば何度も何度もしつこく聴かされた耳タコ曲群を、聴いていたのである。
ところが1975年頃になると、オールディーズはちょっとした変革期を迎えることになる。それは映画「アメリカン・グラフィティ“American Graffiti”」(1973年)の影響で、日本でヒットしたかどうかにかかわらず、本場アメリカでヒットした曲がもてはやされ、日本ではあまりお馴染みではない曲が聴かれるようになった。その頃になるとオールディーズ愛好家は必ずしもリアルタイムのリスナーではなく、オールディーズを新しい音楽のひとつとして捉えるファンやマニアが出現してきた。そして、ロックンロール(Rock'n Roll)とかドゥーワップ(Doo Wop)とかの言葉が一般に広まり、海外の編集・再発LPレコードが日本の音楽市場にどっと入ってきた。
次は、1990年代半ば頃のこと、音楽媒体はすでにCDの時代になっていた。すでに書いたようにエーサイドやM&Mレコードなどのオールディーズのレア曲を配信する日本のCD会社が出現した。この現象は海外の方が盛んで、イギリスやドイツなどから盛んにレア曲を収録したCD盤が発売された。イギリスのACE RecordsやドイツのBear Family Records、アメリカのCollectables Recordsなどは有名だ。また、マニアの間では以前からレアな中古シングル盤の取引やオークションは行われきたが、ネット普及の影響によりますます盛んになってきたようだ。
以上のように、オールディーズ・ファン、マニアは、「日本におけるヒットパレード曲」→「アメリカでヒットした曲」→「レア曲」へと、少しずつ興味の変化を示すようになってきた。
さて、話をサンディ・セルシーの「想い出のレコード」に戻そう。
この曲はオールディーズとしてよく出来た曲だ。と言うのは、ストリングスを多用したり、哀愁ぽいメロディを散りばめたり、エンディングで“Oh Yeh”や“Ah Hah”などの合いの手を効果的に挿入したりと、オールディーズのツボを押えたニクい曲作りに徹している。そういう意味で完成度の高い曲なのかもしれない。
ところで、サンディ・セルシーについてちょっと触れておこう。
彼女はカナダ出身のカントリー/ポップス歌手で、1946年にトロント郊外のリッチモンド・ヒル(Toronto suburb of Richmond Hill,Ontario)で生まれた。高校生のとき家族旅行で米国・ナッシュビル(Nashville)を訪れ、コロンビア・レコード(Columbia Records)のオーディションを受け、5年間の契約を取り付けた。
1962年、彼女は15歳で“The Poorest Girl In Town / A Date With Loneliness”でデビュー、さらに地元のいくつかのラジオやテレビのショー番組に出演した。この“A Date With Loneliness(一人ぼっちのデイト)”はカナダでこそヒットしたが、全米チャートには進出することはなかった。
続く“Gonna Get Some Records / Walk With Me My Angel(2人で一緒に)”もヒットせず、日本でも発売されたが、ヒットすることはなかった。さらにもう一枚リリースしたものの、彼女の消息はその後わからず、曲をリリースしていないので引退したのだろうと思われる。
ディスコグラフィー
The Poorest Girl In Town / A Date With Loneliness(Columbia 4-42418)27 Apr 1962
Gonna Get Some Records / Walk With Me My Angel(Columbia 4-42594)28 Sep 1962
Come On In / Don't Destroy Me(Columbia 4-42766)5 Apr 1963
When Jimmy Comes Home / Little Miss With It(Columbia 4-42883)8 Oct 1963
Gonna Get Some Records, 1962
The Poorest Girl In Town, 1962
A Date With Loneliness, 1962
When Jimmy Comes Home, 1963
そこで、日本のオールディーズ・ファンやマニアの動向を年代的に少し考えてみたい。
もともとオールディーズの対象となる曲は、まず「日本で大ヒットしたこと」や、自分にとって「懐かしいこと」が前提であった。つまり、ほとんどのファンは当時のヒットパレードを聴いていた人達で、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)をはじめ、ポール・アンカ(Paul Anka)、ニール・セダカ(Neil Sedaka)、コニー・フランシス(Connie Francis)らに代表されるヒットパレード常連組の曲を、私に言わせれば何度も何度もしつこく聴かされた耳タコ曲群を、聴いていたのである。
ところが1975年頃になると、オールディーズはちょっとした変革期を迎えることになる。それは映画「アメリカン・グラフィティ“American Graffiti”」(1973年)の影響で、日本でヒットしたかどうかにかかわらず、本場アメリカでヒットした曲がもてはやされ、日本ではあまりお馴染みではない曲が聴かれるようになった。その頃になるとオールディーズ愛好家は必ずしもリアルタイムのリスナーではなく、オールディーズを新しい音楽のひとつとして捉えるファンやマニアが出現してきた。そして、ロックンロール(Rock'n Roll)とかドゥーワップ(Doo Wop)とかの言葉が一般に広まり、海外の編集・再発LPレコードが日本の音楽市場にどっと入ってきた。
次は、1990年代半ば頃のこと、音楽媒体はすでにCDの時代になっていた。すでに書いたようにエーサイドやM&Mレコードなどのオールディーズのレア曲を配信する日本のCD会社が出現した。この現象は海外の方が盛んで、イギリスやドイツなどから盛んにレア曲を収録したCD盤が発売された。イギリスのACE RecordsやドイツのBear Family Records、アメリカのCollectables Recordsなどは有名だ。また、マニアの間では以前からレアな中古シングル盤の取引やオークションは行われきたが、ネット普及の影響によりますます盛んになってきたようだ。
以上のように、オールディーズ・ファン、マニアは、「日本におけるヒットパレード曲」→「アメリカでヒットした曲」→「レア曲」へと、少しずつ興味の変化を示すようになってきた。
さて、話をサンディ・セルシーの「想い出のレコード」に戻そう。
この曲はオールディーズとしてよく出来た曲だ。と言うのは、ストリングスを多用したり、哀愁ぽいメロディを散りばめたり、エンディングで“Oh Yeh”や“Ah Hah”などの合いの手を効果的に挿入したりと、オールディーズのツボを押えたニクい曲作りに徹している。そういう意味で完成度の高い曲なのかもしれない。
ところで、サンディ・セルシーについてちょっと触れておこう。
彼女はカナダ出身のカントリー/ポップス歌手で、1946年にトロント郊外のリッチモンド・ヒル(Toronto suburb of Richmond Hill,Ontario)で生まれた。高校生のとき家族旅行で米国・ナッシュビル(Nashville)を訪れ、コロンビア・レコード(Columbia Records)のオーディションを受け、5年間の契約を取り付けた。
1962年、彼女は15歳で“The Poorest Girl In Town / A Date With Loneliness”でデビュー、さらに地元のいくつかのラジオやテレビのショー番組に出演した。この“A Date With Loneliness(一人ぼっちのデイト)”はカナダでこそヒットしたが、全米チャートには進出することはなかった。
続く“Gonna Get Some Records / Walk With Me My Angel(2人で一緒に)”もヒットせず、日本でも発売されたが、ヒットすることはなかった。さらにもう一枚リリースしたものの、彼女の消息はその後わからず、曲をリリースしていないので引退したのだろうと思われる。
ディスコグラフィー
The Poorest Girl In Town / A Date With Loneliness(Columbia 4-42418)27 Apr 1962
Gonna Get Some Records / Walk With Me My Angel(Columbia 4-42594)28 Sep 1962
Come On In / Don't Destroy Me(Columbia 4-42766)5 Apr 1963
When Jimmy Comes Home / Little Miss With It(Columbia 4-42883)8 Oct 1963
Gonna Get Some Records, 1962
The Poorest Girl In Town, 1962
A Date With Loneliness, 1962
When Jimmy Comes Home, 1963