前回記事で、ヘレン・シャピロ(Helen Shapiro)にちょっと触れたが、そこで思いついたのがヘレンシャピロのカヴァー曲を歌ってヒットさせたミコちゃんこと弘田三枝子で、今回は彼女の曲を採り上げることにした。なかなかパンチの利いた声で、歌唱力もあり、カヴァー・ポップスからジャズを志したが、1969年に「人形の家」で歌謡曲に転向した歌手である。
彼女は、ヘレン・シャピロ以外にも、コニー・フランシス(Connie Francis)やニール・セダカ(Nei Sedaka)らのアメリカン・ポップス定番歌手や、ミーナ(Mina)、ジリオラ・チンクエッティ(Gigliola Cinquetti)、フランス・ギャル(France Gall)らの欧州系ポップ歌手もカヴァーし、ヒットさせた。また、カヴァー曲ばかりでなく多くのオリジナル曲も歌い、さらにテレビや映画の主題歌、CM曲など、一時期は売れっ子歌手として活躍した。
今回は、カヴァー曲ではなく、オリジナル曲からシングルカットされなかった、LP盤にのみ収録された「おでこにキッス」を選んでみた。
この曲にはちょっと注釈が必要だ。と言うのは、LP盤(東芝 JPO-1285, 1963.04)やCD盤「ミコちゃんのヒット・キット・パレード」(東芝 TOCT-6901-02)のライナーノーツには、この曲のオリジナル曲が“Cry Heart Out”で、「永六輔作詩・N.Parmor-N.Newell作曲・中村八大編曲」と掲載されている。
ちょっと疑問に思ったので調べてみると、“Cry My Heat Out(涙がいっぱい)”という別の曲で、たしかにN.Parmor-N.Newellが作曲しており、ヘレン・シャピロが歌い、弘田三枝子もカヴァーしている。つまり、「おでこにキッス」とは別の曲のデータが印刷されているようだ。
ところで、この「おでこにキッス」は、私が中学生の頃よく観ていたイギリスのテレビドラマ「アイバンホー」(土曜日の夜7時半から放映されていたと思うが…)でスポンサーの不二家が「ルックチョコレート」のCMで流していた曲と同一で、たしか、画像いっぱいにスリー・ファンキーズの面々が歌って踊って、といったような気がする。
この曲を、はじめはCM曲として知り、後で「おでこにキッス」と知ったわけだが、実際にはこの曲がCM曲として作られたのか、オリジナル・ポップス曲として作曲されたのかわからない。ただ、このCM曲が「永六輔作詩・中村八大作曲」とクレジットされており、「おでこにキッス」も永六輔と中村八大のコンビだろうと考えている。
この「おでこにキッス」は、当時、歌謡曲ではなくアメリカン・ポップスとして日本人が作曲し、日本人が日本語で歌った曲としていささかの価値があると思うのだが、いかがなものだろうか?
さて、話を少し拡げてみると、ヘレン・シャピロが歌い、弘田三枝子がカヴァーした“Cry My Heat Out, 1962(涙がいっぱい)”は、ビートルズ(The Beatles)が登場してくる直前のイギリス・ポップ・シーンを描いたミュージカル映画「Play It Cool」(1962)で歌われたものだ。当時人気のあったビリー・フューリー(Billy Fury)、ボビー・ヴィー(Bobby Vee)ダニー・ウイリアムズ(Danny Williams)らとともに、ヘレン・シャピロもこの映画の中で2曲披露した。もう1曲は“I Don't Care, 1962(振られちゃったの)”である。「振られちゃったの」はヘレン・シャピロの曲としてヒットしたが、弘田三枝子はこの曲をカヴァーしていない。かなりヒット性のある曲と思われるが、他の日本人歌手は歌っていないし、ちょっと謎だ。
なお、このミュージカル映画「Play It Cool」の音楽担当はN.Parmor-N.Newellであり、「振られちゃったの」もこのコンビが作詞・作曲した。
表題曲の「おでこにキッス」とは直接関係ないけれど、この「振られちゃったの」は私の好きな曲でもあるのでYouTubeからアップした。
なお、弘田三枝子のディスコグラフィー(シングル盤のみ)を掲載したが、バイオグラフィーについては日本語のWikipediaがあるのでそちらを参照していただきたい。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%98%E7%94%B0%E4%B8%89%E6%9E%9D%E5%AD%90)
弘田三枝子のディスコグラフィー
・1961年のデビュー曲から1969年末までのシングル盤を掲載
・(17・25・30cm)LP盤、ソノシート、ピクチャーレコードなど除く
子供ぢゃないの/悲しき片想い(東芝 JP-5089)1961.11
すてきな16才/夢のスウィート・ホーム(東芝 JP-5100)1962.02
カモン・ダンス/恋のエアメイル(東芝 JP-5108)1962.04
寝不足なの/ブルージン・ブルース(東芝 JP-5125)1962.06
かっこいいツイスト/一度だけのあやまち(東芝 JP-5119)1962.07
かっこいい彼氏/シェーナ・シェーナ(東芝 JP-5148)1962.09
リトル・ミス・ロンリー/ヴァケーション(東芝 JP-5161)1962.10
ミコのジングルベル/ブルー・クリスマス(東芝 JP-5160)1962.11
ゆるしてゆるして/涙がいっぱい(東芝 JP-5184)1963.03
想い出の冬休み/マック・ザ・ナイフ(東芝 JP-5199)1963.03
明日をみつめて/そっと一人に(東芝 JP-1548)1963.03
渚のデイト/星影で愛して(東芝 JP-5216)1963.05
悲しきハート/月影のレナート(東芝 JP-5236)1963.07
涙のゴスペル/悲しみがいっぱい(東芝 JP-5248)1963.09
私のベイビー/ティーンエイジ・クレオパトラ(東芝 JP-5264)1963.12
ダンケシェーン/涙のためいき(東芝 TR-1050)1964.03
若い街角/気ンなるあいつ(東芝 TR-1071)1964.05
恋と涙の17才/いつでもあなたを(東芝 TR-1080)1964.05
ひとつぶの真珠/きっとね(東芝 TR-1110)1964.08
恋のレッスン/涙の二十四時間(東芝 TP-1004)1964.10
はじめての恋人/砂に消えた涙 (コロムビア SAS-432)1964.12
ナポリは恋人/レッツ・ゴー・ベイビー(コロムビア SAS-434)1965.02
いそしぎ/サマータイム(HINO & MIKO)(コロムビア SAS-10043)1965.04
可愛いマリア/君に涙とほほえみを(コロムビア JPS-1)1965.04
太陽の海/夕陽のなぎさ(コロムビア JPS-7)1965.06
夜の太陽/夢見るシャンソン人形(コロムビア JPS-11)1965.08
恋のクンビア/愛の言葉を(コロムビア JPS-12)1965.08
道/ほほえみを忘れないで(コロムビア JPS-21)1965.09
ホワイト・クリスマス/ジングル・ベル(コロムビア JPS-22)1965.10
スーベニールス/そよ風にのって(コロムビア JPS-30)1966.02
愛のゴー・ゴー/砂の上のひめごと(コロムビア JPS-38)1966.03
瞳の中の私/悲しみは空の彼方に(コロムビア JPS-42)1966.05
恋はノン・ストップ/帰ってね、きっと(コロムビア SAS-781)1966.10
世界の国からこんにちは/若さが燃えている(コロムビア SAS-869)1967.03
黒いブーツと皮ジャンパー/帰らぬ少年兵(コロムビア SAS-879)1967.04
南国の愛の星/どうすりゃいいの(コロムビア SAS-907)1967.06
渚のうわさ/風とオトコのコ(コロムビア P-1)1967.07
枯葉のうわさ/悲しみの足音(コロムビア P-3)1967.11
涙のドライブ/さざ波のバラード(コロムビア P-10)1968.03
渚の天使/恋のエンジェルベイビー(コロムビア P-24)1968.07
可愛い嘘/砂に埋めた手紙(コロムビア P-37)1968.09
虹に瞳を/グロッカ・モーラの様子はいかが(コロムビア P-46)1968.12
人形の家/あなたがいなくても(コロムビア P-65)1969.06
私が死んだら/鏡の中の天使(コロムビア P-79)1969.12
弘田三枝子“おでこにキッス”1963
弘田三枝子“ルックチョコレートの歌”1963
Helen Shapiro“I Don't Care(振られちゃったの)”1962
彼女は、ヘレン・シャピロ以外にも、コニー・フランシス(Connie Francis)やニール・セダカ(Nei Sedaka)らのアメリカン・ポップス定番歌手や、ミーナ(Mina)、ジリオラ・チンクエッティ(Gigliola Cinquetti)、フランス・ギャル(France Gall)らの欧州系ポップ歌手もカヴァーし、ヒットさせた。また、カヴァー曲ばかりでなく多くのオリジナル曲も歌い、さらにテレビや映画の主題歌、CM曲など、一時期は売れっ子歌手として活躍した。
今回は、カヴァー曲ではなく、オリジナル曲からシングルカットされなかった、LP盤にのみ収録された「おでこにキッス」を選んでみた。
この曲にはちょっと注釈が必要だ。と言うのは、LP盤(東芝 JPO-1285, 1963.04)やCD盤「ミコちゃんのヒット・キット・パレード」(東芝 TOCT-6901-02)のライナーノーツには、この曲のオリジナル曲が“Cry Heart Out”で、「永六輔作詩・N.Parmor-N.Newell作曲・中村八大編曲」と掲載されている。
ちょっと疑問に思ったので調べてみると、“Cry My Heat Out(涙がいっぱい)”という別の曲で、たしかにN.Parmor-N.Newellが作曲しており、ヘレン・シャピロが歌い、弘田三枝子もカヴァーしている。つまり、「おでこにキッス」とは別の曲のデータが印刷されているようだ。
ところで、この「おでこにキッス」は、私が中学生の頃よく観ていたイギリスのテレビドラマ「アイバンホー」(土曜日の夜7時半から放映されていたと思うが…)でスポンサーの不二家が「ルックチョコレート」のCMで流していた曲と同一で、たしか、画像いっぱいにスリー・ファンキーズの面々が歌って踊って、といったような気がする。
この曲を、はじめはCM曲として知り、後で「おでこにキッス」と知ったわけだが、実際にはこの曲がCM曲として作られたのか、オリジナル・ポップス曲として作曲されたのかわからない。ただ、このCM曲が「永六輔作詩・中村八大作曲」とクレジットされており、「おでこにキッス」も永六輔と中村八大のコンビだろうと考えている。
この「おでこにキッス」は、当時、歌謡曲ではなくアメリカン・ポップスとして日本人が作曲し、日本人が日本語で歌った曲としていささかの価値があると思うのだが、いかがなものだろうか?
さて、話を少し拡げてみると、ヘレン・シャピロが歌い、弘田三枝子がカヴァーした“Cry My Heat Out, 1962(涙がいっぱい)”は、ビートルズ(The Beatles)が登場してくる直前のイギリス・ポップ・シーンを描いたミュージカル映画「Play It Cool」(1962)で歌われたものだ。当時人気のあったビリー・フューリー(Billy Fury)、ボビー・ヴィー(Bobby Vee)ダニー・ウイリアムズ(Danny Williams)らとともに、ヘレン・シャピロもこの映画の中で2曲披露した。もう1曲は“I Don't Care, 1962(振られちゃったの)”である。「振られちゃったの」はヘレン・シャピロの曲としてヒットしたが、弘田三枝子はこの曲をカヴァーしていない。かなりヒット性のある曲と思われるが、他の日本人歌手は歌っていないし、ちょっと謎だ。
なお、このミュージカル映画「Play It Cool」の音楽担当はN.Parmor-N.Newellであり、「振られちゃったの」もこのコンビが作詞・作曲した。
表題曲の「おでこにキッス」とは直接関係ないけれど、この「振られちゃったの」は私の好きな曲でもあるのでYouTubeからアップした。
なお、弘田三枝子のディスコグラフィー(シングル盤のみ)を掲載したが、バイオグラフィーについては日本語のWikipediaがあるのでそちらを参照していただきたい。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%98%E7%94%B0%E4%B8%89%E6%9E%9D%E5%AD%90)
弘田三枝子のディスコグラフィー
・1961年のデビュー曲から1969年末までのシングル盤を掲載
・(17・25・30cm)LP盤、ソノシート、ピクチャーレコードなど除く
子供ぢゃないの/悲しき片想い(東芝 JP-5089)1961.11
すてきな16才/夢のスウィート・ホーム(東芝 JP-5100)1962.02
カモン・ダンス/恋のエアメイル(東芝 JP-5108)1962.04
寝不足なの/ブルージン・ブルース(東芝 JP-5125)1962.06
かっこいいツイスト/一度だけのあやまち(東芝 JP-5119)1962.07
かっこいい彼氏/シェーナ・シェーナ(東芝 JP-5148)1962.09
リトル・ミス・ロンリー/ヴァケーション(東芝 JP-5161)1962.10
ミコのジングルベル/ブルー・クリスマス(東芝 JP-5160)1962.11
ゆるしてゆるして/涙がいっぱい(東芝 JP-5184)1963.03
想い出の冬休み/マック・ザ・ナイフ(東芝 JP-5199)1963.03
明日をみつめて/そっと一人に(東芝 JP-1548)1963.03
渚のデイト/星影で愛して(東芝 JP-5216)1963.05
悲しきハート/月影のレナート(東芝 JP-5236)1963.07
涙のゴスペル/悲しみがいっぱい(東芝 JP-5248)1963.09
私のベイビー/ティーンエイジ・クレオパトラ(東芝 JP-5264)1963.12
ダンケシェーン/涙のためいき(東芝 TR-1050)1964.03
若い街角/気ンなるあいつ(東芝 TR-1071)1964.05
恋と涙の17才/いつでもあなたを(東芝 TR-1080)1964.05
ひとつぶの真珠/きっとね(東芝 TR-1110)1964.08
恋のレッスン/涙の二十四時間(東芝 TP-1004)1964.10
はじめての恋人/砂に消えた涙 (コロムビア SAS-432)1964.12
ナポリは恋人/レッツ・ゴー・ベイビー(コロムビア SAS-434)1965.02
いそしぎ/サマータイム(HINO & MIKO)(コロムビア SAS-10043)1965.04
可愛いマリア/君に涙とほほえみを(コロムビア JPS-1)1965.04
太陽の海/夕陽のなぎさ(コロムビア JPS-7)1965.06
夜の太陽/夢見るシャンソン人形(コロムビア JPS-11)1965.08
恋のクンビア/愛の言葉を(コロムビア JPS-12)1965.08
道/ほほえみを忘れないで(コロムビア JPS-21)1965.09
ホワイト・クリスマス/ジングル・ベル(コロムビア JPS-22)1965.10
スーベニールス/そよ風にのって(コロムビア JPS-30)1966.02
愛のゴー・ゴー/砂の上のひめごと(コロムビア JPS-38)1966.03
瞳の中の私/悲しみは空の彼方に(コロムビア JPS-42)1966.05
恋はノン・ストップ/帰ってね、きっと(コロムビア SAS-781)1966.10
世界の国からこんにちは/若さが燃えている(コロムビア SAS-869)1967.03
黒いブーツと皮ジャンパー/帰らぬ少年兵(コロムビア SAS-879)1967.04
南国の愛の星/どうすりゃいいの(コロムビア SAS-907)1967.06
渚のうわさ/風とオトコのコ(コロムビア P-1)1967.07
枯葉のうわさ/悲しみの足音(コロムビア P-3)1967.11
涙のドライブ/さざ波のバラード(コロムビア P-10)1968.03
渚の天使/恋のエンジェルベイビー(コロムビア P-24)1968.07
可愛い嘘/砂に埋めた手紙(コロムビア P-37)1968.09
虹に瞳を/グロッカ・モーラの様子はいかが(コロムビア P-46)1968.12
人形の家/あなたがいなくても(コロムビア P-65)1969.06
私が死んだら/鏡の中の天使(コロムビア P-79)1969.12
弘田三枝子“おでこにキッス”1963
弘田三枝子“ルックチョコレートの歌”1963
Helen Shapiro“I Don't Care(振られちゃったの)”1962