もう50年以上も前の、あまりよく知られていないドゥーワップ(Doo Wop)グループを特定したり、同定したりすることは至難の業と言えるだろう。
たとえば何曲かが同じグループ名となっていれば、皆同じグループの曲になるかと言えば、必ずしもそうとは限らない。そのグループの曲なのか、別なグループの曲なのか、曲を聴いただけではわからない場合も多く、判別するのはちょっと厄介である。
つまり、膨大な数のドゥーワップ・グループには、、
(1)同じ名前のグループが思った以上にたくさんある
(2)グループ名を頻繁に変えていくグループもかなり多い
(3)メンバーの変更や交代は激しく、実態が極めて不確か
などの理由があり、特定や同定を困難にしてしまう場合が多い。
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The Complete Book Of Doo-Wop(A Gribin, M Schiff, 2000)によると、The Debsを6組別々のグループに掲載してある。そのすべてが女性グループで、白人か黒人かは不明である。もちろん、The Debsというグループはもっと多く存在している可能性はある。実際、YouTubeを閲覧すると新しいところでは何組もの The Debsが見つかる。
その6組の The Debsのディスコグラフィを以下に記す。
The Debs(1)(female)
Shoo Doo Be Doo / Whadaya Wants(Bruce 129)1955
If You Were Here Tonight / Look What You're Doin' To Me (Crown 153)1955
The Debs(2)(female)
Jonnie Darling / Doom-A-Roca(Keen 3-4003)1957
The Debs(3) with The Eacorts(female)
(We Like)Crew Cuts / Swingin' Sam(by The Pastels)(Josie 833)1958
The Debs(4)(female)
If Wishes Were Kisses / Mucha Cha(Echo 1008)1961
Just Another Fool / Danger Ahead(Double L 727)1963
The Debs(5)(female)
Dream Boat / The Mask(Infinity 035)1962
The Debs, Ty Robin & The(6)(female)
Plese Be Good To Me / I'm Not Sure(Rex 1010)1960
曲について少し補足をしておくと、
(1)“Whadaya Want”のオリジナルはThe Robins(1955)であるが、The Charms(1955)もカヴァーしている。
(2)“Shoo Doo Be Doo(My Loving Baby)”のオリジナルは、Bobby Lester & The Moonlighters(1954)で、The Moonglowsの別名義。
(3)The Debs(2)は、同名異グループだけれど、“Doom-A-Roca, 1957”はちょっと滑稽味のある面白い曲で、私はけっこう気に入っている(YouTube参照)。
(4)検索していると、上記同名異グループ6組の他にもまだいくつかのグループが存在するようだ。そのひとつで、明らかなドゥーワップ・グループでは、
Star In The Sky / Felipe(Squalor 1315),1962
が見つかるが正体不明。
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今回は、“Whadaya Want”(YouTube参照)を歌った The Debs(1)について記しておく。かなりレアなグループばかりらしく、他のThe Debsについてはほとんど情報を見つけることが出来なかった。
The Debs はテキサス州オースティン(Austin)出身の白人女性3人で結成されたグループで、Joyce Webb がリードを担当していた。
Joyce は子どもの頃から歌うのが好きで、ダンス・バンドで歌ったり、テレビのショー番組に出演していた。すでにその頃(1955年)、The Debsを率いて“Shoo Doo Be Doo / Whadaya Wants(Bruce 129)”と“If You Were Here Tonight / Look What You're Doin' To Me (Crown 153)”のシングル2枚をリリースしていた。
その後 Domino Recordsに入社すると、The Debs はバックアップ・ガールグループとして多くのレコーディング・セッションに参加した。とりわけ The Slades(The Spades)の“You Cheated(You Lied), 1958(邦題:うそつき女)”(全米42位)(Youtube参照)のレコーディングに参加したことが知られている。
ところで、“You Cheated”を大ヒットさせたのは The Shields(全米12位)という黒人ドゥーワップ・グループの方で、白人グループを黒人グループがカヴァーしてヒットさせた例は珍しい。(黒人のオリジナルを白人がカヴァーしてヒットさせた例はゴマンとあったが、このような例を他に知らない)
また余談となるが、同じ Joyceつながりで言えば、Joyce Harrisという白人女性歌手が“You Cheated”のアンサー・ソング“I Cheated, 1959”をやはり Domino Records からリリースしている。
1958年、バックアップ・セッションのみならず、Joyce自身は Dominoでレコーディングを行い、逆に The Sladesがバックアップを受け持った。
Joyce Webb & The Slades
Right Here / After You've Gone(Youtube参照) (Domino 300/400)1958
Joyce Webb
Ain't That Just Like A Man / I Don't Care(Domino 600)1958
(Joye Webb は60~70年代にかけても音楽界で活躍したが、詳細については省略する)
The Debs(1)“Whadaya Wants”1955
Joyce Webb & The Slades“After You've Gone” 1958
The Slades“You Cheated”1958
The Debs(2)“Doom-A-Roca”1957
たとえば何曲かが同じグループ名となっていれば、皆同じグループの曲になるかと言えば、必ずしもそうとは限らない。そのグループの曲なのか、別なグループの曲なのか、曲を聴いただけではわからない場合も多く、判別するのはちょっと厄介である。
つまり、膨大な数のドゥーワップ・グループには、、
(1)同じ名前のグループが思った以上にたくさんある
(2)グループ名を頻繁に変えていくグループもかなり多い
(3)メンバーの変更や交代は激しく、実態が極めて不確か
などの理由があり、特定や同定を困難にしてしまう場合が多い。
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The Complete Book Of Doo-Wop(A Gribin, M Schiff, 2000)によると、The Debsを6組別々のグループに掲載してある。そのすべてが女性グループで、白人か黒人かは不明である。もちろん、The Debsというグループはもっと多く存在している可能性はある。実際、YouTubeを閲覧すると新しいところでは何組もの The Debsが見つかる。
その6組の The Debsのディスコグラフィを以下に記す。
The Debs(1)(female)
Shoo Doo Be Doo / Whadaya Wants(Bruce 129)1955
If You Were Here Tonight / Look What You're Doin' To Me (Crown 153)1955
The Debs(2)(female)
Jonnie Darling / Doom-A-Roca(Keen 3-4003)1957
The Debs(3) with The Eacorts(female)
(We Like)Crew Cuts / Swingin' Sam(by The Pastels)(Josie 833)1958
The Debs(4)(female)
If Wishes Were Kisses / Mucha Cha(Echo 1008)1961
Just Another Fool / Danger Ahead(Double L 727)1963
The Debs(5)(female)
Dream Boat / The Mask(Infinity 035)1962
The Debs, Ty Robin & The(6)(female)
Plese Be Good To Me / I'm Not Sure(Rex 1010)1960
曲について少し補足をしておくと、
(1)“Whadaya Want”のオリジナルはThe Robins(1955)であるが、The Charms(1955)もカヴァーしている。
(2)“Shoo Doo Be Doo(My Loving Baby)”のオリジナルは、Bobby Lester & The Moonlighters(1954)で、The Moonglowsの別名義。
(3)The Debs(2)は、同名異グループだけれど、“Doom-A-Roca, 1957”はちょっと滑稽味のある面白い曲で、私はけっこう気に入っている(YouTube参照)。
(4)検索していると、上記同名異グループ6組の他にもまだいくつかのグループが存在するようだ。そのひとつで、明らかなドゥーワップ・グループでは、
Star In The Sky / Felipe(Squalor 1315),1962
が見つかるが正体不明。
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今回は、“Whadaya Want”(YouTube参照)を歌った The Debs(1)について記しておく。かなりレアなグループばかりらしく、他のThe Debsについてはほとんど情報を見つけることが出来なかった。
The Debs はテキサス州オースティン(Austin)出身の白人女性3人で結成されたグループで、Joyce Webb がリードを担当していた。
Joyce は子どもの頃から歌うのが好きで、ダンス・バンドで歌ったり、テレビのショー番組に出演していた。すでにその頃(1955年)、The Debsを率いて“Shoo Doo Be Doo / Whadaya Wants(Bruce 129)”と“If You Were Here Tonight / Look What You're Doin' To Me (Crown 153)”のシングル2枚をリリースしていた。
その後 Domino Recordsに入社すると、The Debs はバックアップ・ガールグループとして多くのレコーディング・セッションに参加した。とりわけ The Slades(The Spades)の“You Cheated(You Lied), 1958(邦題:うそつき女)”(全米42位)(Youtube参照)のレコーディングに参加したことが知られている。
ところで、“You Cheated”を大ヒットさせたのは The Shields(全米12位)という黒人ドゥーワップ・グループの方で、白人グループを黒人グループがカヴァーしてヒットさせた例は珍しい。(黒人のオリジナルを白人がカヴァーしてヒットさせた例はゴマンとあったが、このような例を他に知らない)
また余談となるが、同じ Joyceつながりで言えば、Joyce Harrisという白人女性歌手が“You Cheated”のアンサー・ソング“I Cheated, 1959”をやはり Domino Records からリリースしている。
1958年、バックアップ・セッションのみならず、Joyce自身は Dominoでレコーディングを行い、逆に The Sladesがバックアップを受け持った。
Joyce Webb & The Slades
Right Here / After You've Gone(Youtube参照) (Domino 300/400)1958
Joyce Webb
Ain't That Just Like A Man / I Don't Care(Domino 600)1958
(Joye Webb は60~70年代にかけても音楽界で活躍したが、詳細については省略する)
The Debs(1)“Whadaya Wants”1955
Joyce Webb & The Slades“After You've Gone” 1958
The Slades“You Cheated”1958
The Debs(2)“Doom-A-Roca”1957