こんな曲をアップすると「ヒットしたけれど、忘れられてしまった名曲」とでもブログ・タイトルを変えなければならなくなる。
この曲は多くのミュージシャンが採り上げている。おもなところを挙げてみると、
最初にこの曲を歌ったのは、Ella Mae Morse という白人女性歌手で、Don Ray、Freddie Slack & His Orchestra の演奏で1945年に発表、ビルボート・ポップ・チャート 8位を記録した。なお Don Ray と Freddie Slack はこの曲の作者である。
翌1946年には The Andrews Sisters が歌ってヒットさせた。ビルボード・ポップ・チャートは 15位。
1952年には、Merril Moore が、- C&W(カントリー&ウエスタン)と言うか、もうRockabilly(ロカビリー)なのだが - 演奏し歌っている。この歌手の LPレコードを持っているが、“Red Light, 1956”がカッコよくて、よく聴いていた。
次は、今回採り上げた Chuck Miller で、当時 FEN のジム・ピューター・ショウ(Jim Pewtwr Show)でイヤというほどよく聴いた。それでも、私には Chuck Miller 版が一番カッコよく聴こえる。
その後、Chuck Berry、Jerry Lee Lewis、Freddy Cannon らによって演奏され歌われた。
なお、Eddie Costa の有名なジャズ・トリオ演奏“The House Of Blue Lights, 1959”は同名異曲である。
Chuck Miller について簡単に触れておこう。本名は Charles Nelson "Chuck" Miller (30 August 1924 - 15 January 2000)と言い、カンザス州のウェリントン(Wellington, Kansas)で生まれた。子ども時代にピアノを習い、40年代中頃からロサンゼルス地区でピアノ・トリオを組んで演奏活動を行っていた。
1953年になると、キャピトル(Capitol Records)で歌の初録音を行った。当初は、ディーン・マーチン(Dean Martin)やビング・クロスビー(Bing Crosby)のようなポップスやノヴェルティ・ソングなどを歌ったが、のちにヒルビリー(hillbilly)やブギウギ(boogie woogie)のような活発な歌を吹き込んだ。
1955年にマーキュリー(Mercury Records)に移籍し、“The House Of Blue Lights”を吹き込んだ。この曲は大当たりし、ビルボード・ポップ・チャートの 9位に輝いた。
その後、1958年頃まで多くの曲を発表したが、“The House Of Blue Lights”を超える成功は得られなかった。
その後、60年代になるとアラスカなどに移り、2000年にハワイで死去した。75歳だった。
ところで、Chuck Miller をネットで調べていたら、昭和28年(1953)に江利チエミが渡米して“GOMENNASA”と“PRETTY EYED BABY”を録音、演奏はチャック・ミラー・トリオとなっており、さらにチャック・ミラーとはデュエットを行い、その歌と演奏は米国で発売されたという記述があった。レーベルはキャピタルではなく Federal なのだが、本当のことなのだろうか? チャック・ミラーによく似た人物と江利チエミが仲良さそうにしている写真もあるのだが…。ご存知の方は教えてください。
最後にブギ・ウギ(boogie woogie)について少し書いておこう。
ブギ・ウギと言っても、笠置シズ子の「買い物ブギ」ではなく、ブルースとしてのブギ・ウギで、若い頃から強い関心を持って聴いていた。
ブギ・ウギの発祥はおそらく1910~20年頃で、ブルース・ピアニストのカウ・カウ・ダヴェンポート(Cow Cow Davenport)やジミー・ヤンシー(Jimmy Yancy)らによって変則的な8ビート奏法が考案されたが、きちんと録音されて残っているのはカウ・カウ・ダヴェンポートの“Cow Cow Blues, 1928”やパイン・トップ・スミス(Pine Top Smith)の“Pine Top Blues, 1928”あたりからだろうか。
その後、ブギ・ウギはミード・ラクス・ルイス(Meade Lux Lewis)、アルバート・アモンズ(Albert Ammons)。ピート・ジョンソン(Pete Johnson)のブギ・ウギ・トリオによって一大ブームとなった。1938~39年のことである。
それから1940年代から50年代前半にかけて、女性ブギ・ピアニストの全盛を迎えることになる。すなわち、Cleo Brown、Hadda Brooks、Camille Howerd、Dorothy Donegan、Mary Lou Williams らが活躍、ジャンプ・ブルース(Jump Blues)あるいはリズム&ブルース(R&B)に華やかな彩りを添えた。
この辺の女性ブギ・ピアニストについては、いずれこのブログで採り上げてみたいと思っている。
Chuck Miller(Discography)
Am I To Blame / Count Your Blessings (One By One) Capitol F2613 1953/Oct.
After All / Pucket-Nut Tree Capitol F2700 1954/Feb.
Idaho Red / The Joker (In The Card Game Of Life) Capitol F2766 1954/Apr.
Hopahoola Boogie / I'll Know My Love (By The Way She Talks) Capitol F2841 1954/June
The House Of Blue Lights / Can't Help Wonderin' Mercury 70627-x45 1955/May
No Baby Like You / Rouge River Valley Capitol F3187 1955/July
Hawkeye / Something To Live For Mercury 70697X45 1955/Sept.
Boogie Blues / Lookout Mountain Mercury 70767x45 1955/Dec.
Bright Red Convertible / Baltimore Jones Mercury 70842X45 1956/Apr.
Cool It Baby! / Vim Vam Vamoose Mercury 70942X45 1956/Sept. 1
The Auctioneer / Baby Doll Mercury 71001X45 1956/Dec.
Good Mornin' Darlin' (It's Time To Say Goodnight) / My Head's In The Barrel Mercury 71056X45 1957/Mar.
Bye, Bye, Love / Rang Tang Ding Dong Mercury 71118X45 1957/May 27
Plaything / After Yesterday Mercury 71173X45 1957/Aug.
Down The Road A-Piece / Mad About Her Blues Mercury 71308X45 1958/May 26
Chuck Miller“The House Of Blue Lights”1955
Ella Mae Morse“The House Of Blue Lights”1945
Merrill Moore“The House Of Blue Lights”1952
この曲は多くのミュージシャンが採り上げている。おもなところを挙げてみると、
最初にこの曲を歌ったのは、Ella Mae Morse という白人女性歌手で、Don Ray、Freddie Slack & His Orchestra の演奏で1945年に発表、ビルボート・ポップ・チャート 8位を記録した。なお Don Ray と Freddie Slack はこの曲の作者である。
翌1946年には The Andrews Sisters が歌ってヒットさせた。ビルボード・ポップ・チャートは 15位。
1952年には、Merril Moore が、- C&W(カントリー&ウエスタン)と言うか、もうRockabilly(ロカビリー)なのだが - 演奏し歌っている。この歌手の LPレコードを持っているが、“Red Light, 1956”がカッコよくて、よく聴いていた。
次は、今回採り上げた Chuck Miller で、当時 FEN のジム・ピューター・ショウ(Jim Pewtwr Show)でイヤというほどよく聴いた。それでも、私には Chuck Miller 版が一番カッコよく聴こえる。
その後、Chuck Berry、Jerry Lee Lewis、Freddy Cannon らによって演奏され歌われた。
なお、Eddie Costa の有名なジャズ・トリオ演奏“The House Of Blue Lights, 1959”は同名異曲である。
Chuck Miller について簡単に触れておこう。本名は Charles Nelson "Chuck" Miller (30 August 1924 - 15 January 2000)と言い、カンザス州のウェリントン(Wellington, Kansas)で生まれた。子ども時代にピアノを習い、40年代中頃からロサンゼルス地区でピアノ・トリオを組んで演奏活動を行っていた。
1953年になると、キャピトル(Capitol Records)で歌の初録音を行った。当初は、ディーン・マーチン(Dean Martin)やビング・クロスビー(Bing Crosby)のようなポップスやノヴェルティ・ソングなどを歌ったが、のちにヒルビリー(hillbilly)やブギウギ(boogie woogie)のような活発な歌を吹き込んだ。
1955年にマーキュリー(Mercury Records)に移籍し、“The House Of Blue Lights”を吹き込んだ。この曲は大当たりし、ビルボード・ポップ・チャートの 9位に輝いた。
その後、1958年頃まで多くの曲を発表したが、“The House Of Blue Lights”を超える成功は得られなかった。
その後、60年代になるとアラスカなどに移り、2000年にハワイで死去した。75歳だった。
ところで、Chuck Miller をネットで調べていたら、昭和28年(1953)に江利チエミが渡米して“GOMENNASA”と“PRETTY EYED BABY”を録音、演奏はチャック・ミラー・トリオとなっており、さらにチャック・ミラーとはデュエットを行い、その歌と演奏は米国で発売されたという記述があった。レーベルはキャピタルではなく Federal なのだが、本当のことなのだろうか? チャック・ミラーによく似た人物と江利チエミが仲良さそうにしている写真もあるのだが…。ご存知の方は教えてください。
最後にブギ・ウギ(boogie woogie)について少し書いておこう。
ブギ・ウギと言っても、笠置シズ子の「買い物ブギ」ではなく、ブルースとしてのブギ・ウギで、若い頃から強い関心を持って聴いていた。
ブギ・ウギの発祥はおそらく1910~20年頃で、ブルース・ピアニストのカウ・カウ・ダヴェンポート(Cow Cow Davenport)やジミー・ヤンシー(Jimmy Yancy)らによって変則的な8ビート奏法が考案されたが、きちんと録音されて残っているのはカウ・カウ・ダヴェンポートの“Cow Cow Blues, 1928”やパイン・トップ・スミス(Pine Top Smith)の“Pine Top Blues, 1928”あたりからだろうか。
その後、ブギ・ウギはミード・ラクス・ルイス(Meade Lux Lewis)、アルバート・アモンズ(Albert Ammons)。ピート・ジョンソン(Pete Johnson)のブギ・ウギ・トリオによって一大ブームとなった。1938~39年のことである。
それから1940年代から50年代前半にかけて、女性ブギ・ピアニストの全盛を迎えることになる。すなわち、Cleo Brown、Hadda Brooks、Camille Howerd、Dorothy Donegan、Mary Lou Williams らが活躍、ジャンプ・ブルース(Jump Blues)あるいはリズム&ブルース(R&B)に華やかな彩りを添えた。
この辺の女性ブギ・ピアニストについては、いずれこのブログで採り上げてみたいと思っている。
Chuck Miller(Discography)
Am I To Blame / Count Your Blessings (One By One) Capitol F2613 1953/Oct.
After All / Pucket-Nut Tree Capitol F2700 1954/Feb.
Idaho Red / The Joker (In The Card Game Of Life) Capitol F2766 1954/Apr.
Hopahoola Boogie / I'll Know My Love (By The Way She Talks) Capitol F2841 1954/June
The House Of Blue Lights / Can't Help Wonderin' Mercury 70627-x45 1955/May
No Baby Like You / Rouge River Valley Capitol F3187 1955/July
Hawkeye / Something To Live For Mercury 70697X45 1955/Sept.
Boogie Blues / Lookout Mountain Mercury 70767x45 1955/Dec.
Bright Red Convertible / Baltimore Jones Mercury 70842X45 1956/Apr.
Cool It Baby! / Vim Vam Vamoose Mercury 70942X45 1956/Sept. 1
The Auctioneer / Baby Doll Mercury 71001X45 1956/Dec.
Good Mornin' Darlin' (It's Time To Say Goodnight) / My Head's In The Barrel Mercury 71056X45 1957/Mar.
Bye, Bye, Love / Rang Tang Ding Dong Mercury 71118X45 1957/May 27
Plaything / After Yesterday Mercury 71173X45 1957/Aug.
Down The Road A-Piece / Mad About Her Blues Mercury 71308X45 1958/May 26
Chuck Miller“The House Of Blue Lights”1955
Ella Mae Morse“The House Of Blue Lights”1945
Merrill Moore“The House Of Blue Lights”1952